ザギトワの引退撤回?常勝ロシア女子選手たちの成長とその光と影!?

平昌オリンピックフィギュアスケートの金メダリスト、ロシアのアリーナ・ザギトワ選手が成績の低迷もあり、引退か競技休止かと騒がれていますね。12月5日から12月8日に、イタリア・トリノでフィギュアスケートグランプリ(GP)ファイナルに彼女ももちろん出場しました。女子シングル・ショートプログラム(SP)では79.60を出して、2位につけて、私たちに「さすが大きな試合では結果を残す」といった印象を植え付けました。が、フリースケーティング(FS)では、ジャンプで回転不足を連発して、まさかの最下位の成績となってしまいました。日本の紀平梨花さんも勝てなかったロシアのティーンエージャーに、絶対女王と言われた彼女も屈する結果になりました。ザギトワ選手本人だけでなく、世界中の多くのファンがショックに陥っています。彼女の今シーズンを振り返るとともに、改めて彼女の魅力について迫ってみましょう。


ザギトワは引退騒動を否定!ロシア女子の名指導者エテリコーチとはどんな人なの?

フィギュアスケートのグランプリファイナル(イタリア・トリノ)で、ロシアの16歳・アリョーナ・コストルナヤが世界最高得点で優勝。2位には15歳のアンナ・シェルバコワ、3位に同じく15歳のアレクサンドラ・トルソワが入りました。表彰台をロシア勢が独占するとともに、世代交代の波を見せつける形となってしまいました。われらの日本代表の紀平梨花はSPでの出遅れを挽回するとともに、フリーで4回転に挑み、ロシアの3選手に果敢に挑むも4位に終わり、非常に残念な限りでした。

それ以上に、私たちが驚いたのが、あのアリーナ・ザギトワ選手の結果が6人中最下位だったことです。

そして、その後、更にショッキングなニュースがありました。

12月13日に、ロシアの国営放送にザギトワ選手本人が出演しました。その際に、「今後の競技会への参加を一時停止にする」と今後の去就について明かしていました。アイスショーなどへの出場は続けるとのことです。この発言に対して、その後の報道が過熱化していきます


2月15日、「立ち止まり、去るつもりはありません。新展開や終了についてモ考えていません」「まだ、ロシア代表チームに所属しており、国際大会で自分の国のためにプレーすることができます」と、引退を考えていない事を表明しました。

しかし、「どこまでが事実なんだろう」と、私たちは気が気ではありませんよね。

そんな時、12月17日ニインスタグラムガ更新されました。秋田犬マサルとチワワの愛犬2匹とともにスリーショットの笑顔を浮かべている姿でした。きっと、多くのファンが安堵していたはずです。クリスマスツリーをバックに、大きくなったマサルを抱きかかえていましたね。本当によかったです。

ザギトワ選手のコーチであるエテリ・トゥトベリーゼさんニついて触れることにします。5人兄弟の末っ子として生まれ、血筋は1/4がロシア人です。

元々は、シングル選手でしたが、後にアイスダンスニ転向しています。18.歳の時にアメリカニ移住して、アメリカでコーチに転身した。そして、ロシアに帰国後、アイスホッケーのリンクで指導を始めました。現在は、サンボ70をベースリンクとしてコーチをしています。

左)ザギトワ選手、右)エテリ・トゥトベリーゼコーチ

彼女の指導をしている主な選手にはオリンピックチャンピオンのアリーナ・ザギトワを筆頭に、2019年のGPファイナルで優勝した16歳のアリョーナ・コストルナヤ、2位に入った15歳のアンナ・シェルバコワ、3位の15歳のアレクサンドラ・トルソワだけではないのです。世界選手権デ4回転ジャンプを成功させたエリザベート・トゥルシンバエワ、エフゲニア・メドーベージェワ(2007年~2018)、ユリア・リプリツカヤ(2009年~2015年)、ポリーナ・ツルスカヤ(2013年~2018年)がいます。驚いたことに、男子の指導もしていますよ。セルゲイ・ボロノフ(2013年~2016年)、イリヤ・スキルダ(2014年~2018年)です。

ザギトワ引退かと騒がれる中、ロシアのフィギュア界の重鎮がいろいろと発言し、エテリ・トゥトベリゼ・コーチら指導陣が反発し、前代未聞の泥仕合の様相を呈しています。

そのなかには、エテリ・トゥトベリーゼコーチの指導をきつく批判する人も現れましたよ。20206年トリノオリンピック王者のエフゲニー・プルシェンコさんです。彼は「アリーナの休止は(今後の)コーチをはっきりさせるためでもあるだろう。別のコーチの下に行く可能性を排除しない」と指摘しています。何やら、私たちが知らない所でいろいろと騒動が大きくなっています。

ザギトワのコーチ陣は公式インスタグラムでプルシェンコさんに「一人の選手も育てていないあなたをコーチと呼べない。アリーナの勧誘にも失敗した」なんてと応酬しています。そして、プルシェンコさんは指導陣の書き込みに「あまりに粗暴で驚くばかりだ」と批判しています。「アリーナを自陣営に誘ったこともない」とした上で「あなたたちは誰をゼロから育てたのか。3回転ジャンプを跳べる子どもたちだけしか受け入れていないのは有名なことだ」と言い返しています(共同)。



ザギトワの2019シーズンのフリー曲と衣装は大人の魅力でいっぱい!グランプリシリーズの結果は?

GPファイナルニに出場したものの最下位に終わったザギトワ選手の今シーズンを振り返ってみようと思います。

今シーズンはフィギュアスケート・ジャパンオーブンで私たちは、今シーズンのプログラムをまず観ることができました。

今季は昨シーズンよりもSP、FS共に大人の雰囲気が漂うプログラムになっていました。SPはヤスミン・レヴィが歌う『Me Voy』です。この曲では、長く付き合ってきた恋人との別れを表現しています。もちろん得意のジャンプである3回転ルッツ3回転ループの連続ジャンプも健在で、最初に跳んでいます。そして、後半で跳ぶ3回転フリップではお馴染みとなった両手を挙げてジャンプで得点を稼いでいます。

FSでは映画『最後の誘惑』よりピーター・ガブリエル作曲の「The Feeling Begins」と映画『アラビアのロレンス』よりモーリシャス・ジャール作曲の序曲「Ramses」を使用しています。大人っぽくなったザギトワ選手にどっきりしたファンもいるでしょう。黒を基調とし、エメラルドグリーンとゴールドをあしらった煌びやかな衣装にも注目です。お値段がなんと30万円です。高価な衣装で古代エジプトの女王を演じる姿には、オリンピック金メダリストの風格が漂っています。後半に、3回転フリップ2回転トウループ2回転ループを組み込んでいます。もちろんレベル4のステップも見所でした。

今シーズンのGPシリーズ第一戦はグルノーブルでのフランス杯でした。SPが74.24点の2位、FSが141.82点の3位で総合216.06点での2位でした。後輩のコストルナヤ選手に負けてしまいましたね。

インタビューでまたジャンプを全部後半に入れたいと言っていました。とにかく、悔しかったんです。印象的な表情でした。
日本で行われたNHK杯フィギュアに出場しました。こちらはSPが66.84点の4位、FSが151.15点の3位でトータル217.99点での3位でした。

そして、GPシリーズの成績を受けて、GPファイナルには出場していますが、前述のような経過で、本人も受け入れがたい最下位となりました。SPの演技を観る限りやはり本領発揮で大舞台には強いと感じたのですが。FSではジャンプで回転不足が重なり、まさかの転倒までありました。「それでも、きっと2020年3月の春の世界選手権には、上手く調整してくるものだ」と私は楽観視していました。

彼女には、紀平梨花さんのようなトリプルアクセルもロシアの後輩ような4回転ジャンプもないんですね。彼女自身が、ロシア選手権を勝ち抜いて、世界選手権ロシア代表にはなれないと実感したのでしょうか。競技会からしばらく離れるという決断の陰にはこんな計算があったのかもしれません。



ザギトワ身長が大きく伸びたことで体型の変化が!ジャンプに影響 があった!?

フィギュアスケートのグランプリファイナルで、ロシアのアリョーナ・コストルナヤが優勝し、2位にアンナ・シェルバコワ、3位にアレクサンドラ・トルソワが入り、表彰台を独占する結果に誰も驚かなかったのではないでしょうか。

平昌オリンピックの女王アリーナ・ザギトワでさえも、最下位になってしまいました。その原因に、急激に伸びた身長と体形の変化があげられています。

平昌オリンピックでの快挙のときにはまだ15歳の少女でした。そして現在は17歳になり、美しい女性へと変化しています。女性らしい体つきは、彼女をますます美しい女性へと変化させています。その一方で、既に、今シーズンが始まった当初から「戦うのが大変」と指摘する声もあったのも確かでした。2019年のロシア選手権でのザギトワ選手の完敗は、末恐ろしいぐらいの新ロシア勢力の躍進を物語っていました。

確かに、オリンピックの金メダルを獲得したザギトワ選手ですが、日本の紀平梨花選手のようにトリプルアクセルは飛ぶことはできないままでのオリンピックでの優勝でした。その後、ロシアには4回転ジャンプを飛ぶ14歳の選手がいると日本で報道され、私たちは驚きと共にニュース映像を見ました。

男子でも米国のジェイソン・ブラウン選手のように4回転ジャンプを組み込んでいないトップ選手がいます。それなのに、「ロシアの女子には、4回転ジャンプを飛ぶ選手が何にもいる」と驚きの連続でした。アレクサンドラ・トルソワが4回転ルッツを飛ぶのを見たときには「羽生結弦選手でも完璧でないのに」と半ばあきれてしまいました。

男子とは異なり、女子には必ず「年齢的体形変化の壁」が来ると私は思っています。2011年6月10日付の日本経済新聞の記事があります。「フィギュア・体操…17歳は女子選手にとり『魔の年齢』か」というものです。この恥では、フィギュアスケートの安藤美姫に取材し、彼女の17〜18歳時の変化について伝えています。

全日本選手権を2連覇していた安藤は、17歳で迎えた同大会で6位に落ち込み、翌年のトリノオリンピックでは15位と低迷しました。安藤さんは低迷の理由のひとつとして「体の変化」を挙げています。どんなにダイエットしても痩せなかったというのです。

確かに、17歳ごろの女子には「体型変化」が大きく現れます。私も中学時代に運動部で連日のように運動をしていた時期から受験勉強を経て、高等学校に入学した時には考えられないほどの体重増加がありました。今思えば、これは単に運動不足によるものだけではなかったのですね。

フィギュアスケートの選手でもなく、普通の女の子ですら体形の変化を感じてしまうほど胸、ヒップ、太腿の部分に脂肪が多く付きます。まして、300gの体重増でジャンプに影響を与えてしまうフィギュアスケートの選手ならなおのことです。

脂肪は男子より増えるのに、筋力は成長期にある男子選手ほどに増えません。これが体操やフィギュアといった芸術性の採点競技に影響をあたえるのです。またこの年頃には、単に伸び盛りで演技が楽しい時期から、競技者として戦うプレッシャーと対峙しなければならない時期とも重なります。精神的変化もあり、トップ選手であればそれはさらに大きなプレッシャーになって当然ですね。

今回のGPファイナルでのザギトワ選手の低迷はこれまでの女子フィギュアスケートの過去の選手にもあった話であるように思います。

日本の浅田真央選手がトリプルアクセルをいとも簡単に飛び、GPファイナルも初出場にして初優勝を成し遂げました。その当時、年齢制限により、彼女はトリノオリンピックに出場ができませんでした。その後のオリンピックに彼女は出場するも、同い年のライバル韓国のキム・ヨナに敗れ、金メダルを手にすることなく引退となりました。

あの時の浅田真央選手は、3回転-3回転の連続ジャンプが飛べないことと表現力の差が敗因となり、敗れたように日本のマスコミは報道しました。確かに、オリンピックを前に、ジャンプのスランプに陥り、3回転半のジャンプだけが独り歩きをしていました。実際には、彼女も身体的成長と女性らしい体形との戦いに敗れたのではないかと思ってしまうのです。

だからこそ、トリノオリンピックでの荒川静香選手のような年齢での金メダル獲得はめずらしいのです。1998年の長野オリンピックの米国タラ・リピンスキー、2002年のソルトレークシティーオリンピック女王の同じく米国のサラ・ヒューズ選手、2014年ソチオリンピックのロシアのアデリア・ソトニコア選手。いづれも、オリンピックの優勝と言う輝かしい成績と共に、すぐに現役引退となっています。もちろん、アリーナ・ザギトワ選手の前のロシアのエースであるエフゲニア・メドベージェワ選手にも体形の変化の壁は当てはまるだろうと考えています。

底なしのポテンシャルを見せつける「ロシアの3人娘」だが、彼女たちが17歳の壁をどのように乗り越えるのか、それとも北京オリンピックにも新たなロシアのスターが現れているのか大いに注目したいと思います。



ザギトワの日本好きはいいね!もっともっと日本に滞在してね。

平昌オリンピックでの優勝とともに話題を集めたのが、日本の秋田犬の「マサル」です。平昌オリンピック前に新潟県で調節を行っていた際、ザギトワ選手は雑誌で見掛けた秋田犬にほれ込み、母におねだりしていました。

見事金メダルを獲得すると、その話題が報道され、秋田県大館市の秋田犬保存会が子犬を贈呈することを決定されました。贈呈前には、2018年5月に、日本語で「勝利」を意味するマサルという名前をつけたいという「日本好き」を感じさせるとさらに話題となりました。

その後、2018年6月12日(日本時間)には、秋田犬「マサル」と触れ合う姿を公開しています。あっと驚いてしまうようなマサルの著しい成長ぶりは私を驚かせてしまうほどのスピードでした。と同時に、ザギトワ選手が「しつけ」の成果を披露しているんですよ。

ご覧になった方もおられるかと思いますが…。なんとロシア語とジェスチャーを交えて「おいで」と指示すると、マサルが近寄ります。「待て」でお座りをして、続けて「ふせ」と呼びかけると、少し戸惑った仕草をしつつも、きちんと応答しています。それに対して、ザギトワ選手は「よくできました」と楽しそうに褒めています。マサルはロシア語がわかるんですね。またしても本当に驚きです。

秋田犬保存会(秋田県大館市)からマサルが贈呈されたのが5月26日です。たった3週間ほどで基本的なしつけをマスターするマサルもまさに金メダリストです。

2019年2月16日マサルが1歳を迎えたことをインスタグラムで報告しています。 ロシア語に加え日本語でも「「あなたは私の支えであり、私を鼓舞してくれる存在です!」とコメントしています。マサルはザギトワ選手を精神的支えとなり、彼女のフィギュアスケートを豊かなものにもしているようです。

日本人として、優秀な秋田犬は日本の誇りです。ザギトワ選手がこれほどまで、マサルを愛してくれるとは、当初想像もできませんでした。
二人の相思相愛ぶりは、共に出演している寝具メーカーのエアウィーブのテレビCMからもうかがえます。

そんな彼女の夢の一つに「日本料理店をする」というのがあるそうです。この点からも、ザギトワ選手の日本への愛が伺われます。夏には、京都に滞在する彼女が浴衣を着ている姿がテレビ番組で紹介されていました。愛犬マサルとの仲の良い姿といい、私たち日本人以上の大きな日本への愛を感じさせます。

アイスショーでも、たびたび日本にやってきて、日本滞在も私たちが知っている以上に長くなっているザギトワ選手は正真正銘の日本文化大使と言えますね。これからも、ロシアと日本の文化的橋渡し役としての彼女の活躍に期待します。



まとめ

2019年12月14日に、アリーナ・ザギトワさんは、選手活動を当面の休止する考えを明らかにしました。これを事実上の引退と日本のマスコミは報道しました。12月下旬に開催されるロシア選手権には出場しないで、しばらく活動を停止すると本人が述べたことを受けてのことです。休止は、モチベーションの低下を理由として挙げています。ただ、「今までのペースではないが、練習は続けたい」と完全な引退は否定しています。もちろん、アイスショーへの出場を通じて、私たちは彼女のスケートを見ることは今後も可能です。大きな壁にぶつかり、悩み苦しんでいるのは本人です。秋田犬マサルや日本料理店の開業と言う夢を実現させるのも一つの人生における選択です。しかし、これからも日本とロシアの文化的橋渡しという役割は続けてくれるはずです。大人になり、フィギュアスケート以外にも活躍の場を広げる女王にも声援を送りましょう。