テレビのフィギュアスケート採点の見方、どこよりもわかる!画像入り

こんにちは、seenoです。
フィギュアスケートの採点って、わかりづらいですよね。技術点(ぎじゅつてん)はともかく演技構成点(えんぎこうせいてん)ってなに?レベル?回転不足ってなんなの?
テレビ観戦がもっとおもしろくなる、採点表の見方です!



フィギュアスケートの採点表、見方を知ればテレビ放送がもっとオモシロイ!採点方法の歴史もちらっと

現在使用されているフィギュアスケートの採点システムは2004年秋から使われています。それまで6点満点で採点されてきたフィギュアスケートの採点をもっと客観的にしようという意図で国際スケート連盟(ISU)によって定められました。

技の基礎点に、その出来によってジャッジが加点や減点などGOEを与えていく技術点と、演技全体の印象から出される演技構成点(5コンポーネンツ)の総合で競います。

技術点は選手が演技した内容、ジャンプやスピンなどの「技」をすべて点数化するという仕組みです。技術点は「基礎点」と「GOE(出来栄え点)」から成り立っています。

基礎点というのは技の価値(英語でBase Value)、むずかしい技を行った選手に高い点数を与えるものです。そしてさらに技の出来栄えを点数化して、GOEとして加え、評価しています。


まず、「基礎点」と「GOE」の合計が技術点になる。これだけ覚えてください!

さいきん、フィギュアスケートの試合の放送で、テレビ画面の左上に「技術点」が表示されているのに気づいてますよね?

その見方を図解します。

黄色の角丸四角で囲んだ部分が、「技術点」の表示です。

2018年全日本選手権での紀平選手の演技途中の一コマです。

上から順番に、この点数表示を解説しますね。

3サルコウ→選手のジャンプが「3回転サルコウ」と認められた
[1.1倍]→基礎点が1.1倍に加点される演技後半のジャンプだということが表示
4.73→基礎点(演技後半に3回転サルコウを決めたときの基礎点)
出来栄え1.29→GOEともいい、技の出来栄えが良いか悪いで評価(5点満点)
滑走者の技術点 84.26→紀平選手のこの時点で獲得した技術点
現在1位の技術点 69.29→滑り終えた中で、技術点が1位の選手の点数

現在トップの技術点が69.29点で、紀平選手がこの時点で84.26点ですから、紀平選手が1位の選手を抜いたことがこれでわかります。

トリプルアクセルを2本決めた演技でしたから、演技が終わるまでにどれだけ点数が伸びるか、ワクワクしてみていました。

フリーが終わったあと、点数が発表されたときの画像です。

右側の赤い枠が、技術点と、演技全体の印象から出される演技構成点(5コンポーネンツ)の点数です。この2つを合計して減点されたものが、フリーの総合得点(黄色の枠)です。

あれ?演技途中では84.26点だったのに、最終的に82.95点になってますね。点数が減ってる??

演技中の点数と発表された点数が増減しているのはよくあることなんです。

点数は演技中につけられているのですが、ジャンプの回転不足や、ジャンプの踏み切りが正しいエッジで行われていたかなど、微妙な場合があり、それは「審議」として残されます。

微妙な場合は、演技終了してから、モニターのスローモーションで確認して採点し直されて、最終的な点数が発表されます。

ちなみに、この技術点表示を英語で見るとこんなです。

これは羽生結弦(はにゅうゆづる)選手の2018年ロシア杯ショートプログラム「otonal」の演技です。

滑走者の技術点が、「CURRENT」って表示されていますね。あくまでも現在の数値だということが英語だとよくわかります。「仮に」っていうニュアンスですかね。

演技中に表示されている点数は暫定的なんだ、と思ってください。

採点結果が発表されるまでに、長く時間がかかっているときってありますよね。

そんなときは、採点者がモニターのスローモーションで確認しているんだなってわかっていると、ちょっと通っぽくないですか?(笑)




フィギュアスケート、採点ってジャッジがしているのよね?テクニカルパネルって?

私もずっと、採点はジャッジがしているのだと思っていましたが、それは半分まちがい。

GOEと演技構成点を評価するのは、ジャッジの仕事です。
テレビで「質のいいジャンプなので、加点対象になります」と言っているのは、GOEのことです。GOEは「3」から「−3」まででしたが、2018年の改定で「5」から「−5」までと幅が大きくなりました。ひとつのジャンプを美しく、入り方を難しくすることで、大きく点数を伸ばすことが可能になりました。

基礎点が高いジャンプが得意な選手は点数を伸ばしますが、スピンやステップなど、他の要素でも高いレベルを得ないとトップにいくことは難しくなります。

では、技術面でのスコアを判定するのが誰か。

それが「テクニカルパネル(技術判定委員)」と呼ばれる人たちです。

たとえばテレビで「いまのジャンプは回転不足でした」と解説されているときは、3人のテクニカルパネルがジャンプの回転不足や、ジャンプの踏み切りが正しいエッジで行われていたかを判定して、採点します。微妙な場合は、モニターのスローモーションで確認している。要素のレベルを判定するのもテクニカルパネルがおこないます。

テレビで紹介されることはほとんどありませんが、試合会場にいくと、ジャッジとともに「本日のテクニカルパネルは…」と紹介されます。

演技構成点はかつての「芸術点」にあたるもので、フィギュアスケートにとって大切な「芸術性」を点数化したものです。

スケーティング技術、音楽表現、振付、要素のつなぎ(トランジッション)、演技力、5つの項目に分かれています。それぞれが10点満点で採点され、最高値と最低値を除くその平均値の得点が合計されます。




フィギュアスケートの採点基準って誰が決めてるの?たまに変更されてない?オリンピックの後とか

ルール変更は、国際スケート連盟(ISU)の総会で決められてます。採点基準の改定は毎年のように行われていますが、とくにオリンピック後に大きな改定が行われています。

平昌(ピョンチャン)オリンピック後の2018−19シーズンの主な変更点をまとめました。

  • 3回転、4回転ジャンプ基礎点が以前より下がる
  • GOEが、7段階採点(+3~-3)から11段階採点(+5~-5)になる
  • 演技後半ジャンプのボーナスが、すべてのジャンプが1.1倍だったのから、SP:最後の1本のみ、FS:最後の3本のみとなる
  • 男子フリーの演技時間 が4分30秒 から4分に
  • フリーで飛ぶジャンプの数が、8個から7個に

昨年の試合を見てみると、ジャンプの基礎点が1.1倍になる本数が限定されたことで、演技の構成もバランスがよくなってきた感じです。

以前のルールだと、前半にスピンやステップをやって、後半にジャンプをまとめて飛んだりする選手もいました。体力を消耗している後半に富んだジャンプだから、基礎点が高くなるというのは納得なのですが、演技として魅力的かというと別の問題ですからね。

4回転ジャンプ基礎点が下がって、GOEの幅が広がったというのは、男子の演技にすごく影響していますし。

テレビ放送では、ジャンプのことばかり連呼されるので、見ているほうもジャンプにだけ目が行きがちですが、他の技にも目を向けてみると、フィギュアスケート観戦ってだんぜんおもしろくなりますよ。

昨年のルール改正でGOEの幅が「5」から「−5」までと大きくなったことで、スピンやステップでもジャンプに負けずに得点が稼げるようになっています。

解説者が「伸びるスケートが素晴らしいですね」といっているのは、スケーティング技術が高いということです。演技構成点が高くなりますし、ジャンプもより質が良くなります。

スピンも「早いな〜」と思っていると、レベルが高かったりしますし、そこで解説を聞いて、どのような難しいことをやっているか聞くと、だんだんわかってきて、おもしろいですよ。




採点がおかしい?バンクーバー五輪での女子シングル、浅田真央とキム・ヨナで採点表の見方

共同通信

フィギュアスケートの採点方法は複雑なうえに、どのくらい難しい技をやっているかは素人にわかりづらく、そこがわかりにくさに拍車をかけていますよね。

9年前の話ですが、バンクーバー五輪で浅田真央(あさだまお)が銀メダル、キム・ヨナが金メダルを取ったことがお茶の間で議論をおこしました。

トリプル・アクセルを2本も成功させたのに、どうして銀メダルだったの?

採点表を見ていくと、キム・ヨナが、トリプルアクセル以上の基礎点が稼げるコンビネーションジャンプを組み合わせて得点を積み重ねていったことが見えてきます。

ショートプログラムの最初のジャンプ

浅田真央がトリプルアクセル+2回転トゥループ、基礎点9.50+GOE 0.60=10.10

キム・ヨナが3回転ルッツ+3回転トゥループ、基礎点10.00+GOE 2.00=12.00

ルールでは、トリプルアクセル+2回転トゥループよりも3回転ルッツ+3回転トゥループのほうが基礎点が高く、かつ完成度が高いジャンプだったので、GOEも高かったのです。

2つめのジャンプ

浅田真央が3回転フリップ、基礎点5.50+GOE 0.20=5.70

キム・ヨナも3回転フリップ、基礎点5.50+GOE 1.20=6.70

3つめのジャンプ

浅田真央が2回転アクセル、基礎点3.50+GOE 1.60=5.10

キム・ヨナも2回転アクセル、基礎点3.50+GOE 1.60=5.10

2つのジャンプでキム・ヨナの得点が上回っていて、ジャンプだけで2.9点差がついています。

最終的にはショートプログラムの技術点には、キム・ヨナが44.70点、浅田真央が41.50点と3.2点差がついていました。

キム・ヨナがルールにしたがって、高得点が出るエレメンツを組み合わせて、きちんとGOEも取れたことが金メダルにつながりました。

この採点結果を改めて見て、浅田真央陣営はトリプルアクセルに執着してしまって、作戦を見誤ってしまったのかな、と感じました。

ジャンプやステップ、スピンなどの技術に、音楽の表現やスケーティング技術などの芸術面も加わって、総合的に高い得点を取った人が勝つというのが、現在のフィギュアスケートのルールなんですね。

なのに、メディアが「トリプルアクセルが成功した」「失敗した」それだけに注目して、成功したら、鬼の首でもとったように騒ぎ立てる…そんな状況に追い詰められちゃったという面もあるかもしれません。

このバンクーバーオリンピック後、浅田真央は佐藤信夫、久美子コーチに師事して、苦手な3回転ルッツを克服できるよう努めたり、スケーティングも見直していましたね。

ソチオリンピックのフリーでは、6種類の3回転を8回決めて素晴らしい演技を締めくくりました。

バンクーバーオリンピックでの、浅田真央とキム・ヨナの得点について、もっと詳しく知りたい方は、こちらをどうぞ

『浅田真央はメイクを変え、キム・ヨナは電卓を叩く』生島淳著(2011年朝日新書)

フィギュアスケートの採点について、私も参考にさせていただいた本です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。